I氏の手紙

Ibuki Hideaki Free Talk

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映画『勝利の日まで』について

 以前、拙著『帝国大海戦』の第5巻(1997年)のあとがきで、昭和20年に公開された『勝利の日まで』という映画を紹介しました。
 これはよくある戦意高揚映画とは一味も二味も違う作品でした。
 徳川夢声(戦前「足柄」に乗って欧州遠征もしています)を所長とする発明研究所は、前線慰問用の新兵器(?)を開発した。それはロケットでカプセルを発射。着弾した地点で小さな芸人が出現し、一芸を披露してから消えるというものだった。「笑慰弾」というネーミングが素晴らしい。
 出演する芸人は、古川緑波、榎本健一(エノケン)、横山エンタツと花菱アチャコ(エンタツ・アチャコ)という戦前のお笑いオールスター。さらに女優陣も、高峰秀子、入江たか子、原節子、山田五十鈴と豪華です。
 ちなみに「笑慰弾」は必ず友軍のところに着弾するわけではなく、海の上や敵陣のところにも落下。それでも芸人はひるむことなく、ちゃんと芸をしてから消えるという(笑)。
 このような素晴らしい映画を、戦後GHQは上映禁止にしちゃったんですねぇ。

 ということを先日mixi日記に書いたところ、マイミクの方から貴重な情報をいただきました。
 監督の成瀬巳喜男が生誕100年ということで、東京の国立フィルムセンターで記念上映会が開催されたとのこと。『勝利の日まで』は残念ながら「焼失」ということで15分の部分上映だったそうですが。

2005.10.21 ◇to page top


アクションの間合いについての一考察

 DVD『攻殻機動隊/笑い男』の冒頭シーンを観ていて、以前感じた違和感を思い出した。それはつまり、最初の『攻殻SAC』の第1話の冒頭でもあるのだけど。
 素子が、テロリスト相手にアタックをかける。上から飛び降り、一気に相手の腕を踏みつけて粉砕する。相手は逃亡をはかるが、そこでようやく銃を使って、テロリストの足を止める。
 つまり、肉弾戦 → 銃撃の順となる。

 これは『舞-HiME』第15話でもそうだった。なつきが複数のシアーズ兵士に肉薄して攻撃(カポエラ的な蹴りも出た)。そのあとにエレメント銃を撃った。
 これもやはり、肉弾戦 → 銃撃。

 違和感を感じたのは、その順番。そもそも、銃というのは、離れた相手を倒すために作られたものだ。遠くから使ってこそ意味がある。順番が逆ではないのか?
 これは何もリアリズムや理屈優先主義から出たものではない。プロレス的な派手な見せ方は大事だと思っているし、SF宇宙アニメのように同一フレームの中に複数の宇宙船を収めなくてはならない「絵づら的」な要求も理解している。
 しかし、「殺陣」として考えた場合、遠くから銃撃。複数いる敵の数を減らし、あるいは牽制しながら接近。最後の敵に対しては自らの拳で決着をつける、という流れも有効だと思うのだけど。

 やはり「拳銃は最後の武器だ」という伝統か……(^_^;)。

※mixi日記にこれを書いたあと、『ガンスリンガー・ガール』第4話で、トリエラが銃撃 → 肉弾戦をやっていることに気づいた。

※拙文を読んで下さった、けんすけさんから
「素子は身柄の確保を優先に動いたので、肉弾戦→銃撃の順でも違和感はなかったです」

 というコメントをいただきました。
 それはそれで理にかなっている見方だと思います。
 演出論的に見ても、通常の刑事ドラマのように
1 遠くから声をかけて警告
2 怪しい動きをしたので発砲(手や足めがけて)
3 近づいて取り押さえる
 だと、「攻殻」のOPとしては、おとなしすぎるでしょうし。

 まあ、この辺はアニメと実写ドラマ、舞台設定によっていろいろと方法も変わってくることでしょう。

2005.10.10 ◇to page top


最近入手した本やDVDソフト 2005年9月後編

 値段は税抜きだったり、税込みだったり、ネット通販のセールス期間中だったり、それぞれです。DVDの新譜はみんなネットで買っているので、実際はもっと割引されています。表示金額はあくまで目安ということで。

○『英語の発想がよくわかる表現50』 行方昭夫 岩波ジュニア新書 740円
○『黒のトリビア』 新潮社事件取材班 新潮文庫 400円
○『戦争ニュース 裏の読み方 表の読み方』 保岡裕之 講談社+α新書 838円
○『戦うハプスブルク家―近代の序章としての三十年戦争』 菊池良生 講談社現代新書 700円
○『ガリアとブリテンのケルト騎士 ― ローマと戦った人々』 ピーター・ウィルコックス 桑原透訳 新紀元社 1000円
○『4号中戦車 1936−1945』 ブライアン・ペレット 齋木伸生訳 大日本絵画 1300円

○『半落ち』 横山秀夫 講談社文庫 590円
○ファファード&グレイ・マウザー1『魔の都の二剣士』 フリッツ・ライバー 浅倉久志訳 創元推理文庫 780円
○『スコッチに涙を託して』 デニス・レヘイン 鎌田三平訳 角川文庫 860円
○『アンダカの怪造学』T 日日日 角川スニーカー文庫 552円
○『舞-HiME Side−A 秘密の花園』 ナカガワヒロユキ 徳間デュアル文庫 667円
○『舞-HiME Side−B 愛と死の輪舞』 ナカガワヒロユキ 徳間デュアル文庫 705円
○『空帝戦騎 孤高の狂科学者編』 影山二階堂 ハーヴェスト出版 850円

○『デスノート』8巻 大場つぐみ&小畑健 集英社 390円
○『ピピンとピント』3巻 大石まさる 少年画報社 543円
○『わたしはあい』1巻 外薗昌也 講談社 514円
○『ムーンライトマイル』1〜2巻 太田垣康男 小学館 各505円

DVDソフト
○『舞-HiME』9巻 小原正和監督 バンダイビジュアル 6800円
○『舞-HiMEファンディスク』 小原正和監督 バンダイビジュアル 2800円
○『攻殻機動隊SAC.The Laughing Man』 神山健治監督 バンダイビジュアル 7800円
○『美少女仮面ポワトリン』1巻 東映 9800円
○『H(エイチ)特別版』 イ・ジョンヒョク監督 ワーナー 1000円期間限定
○『マシニスト』 ブラッド・アンダーソン監督 アミューズ 3800円

2005.10.1 ◇to page top


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