I氏の手紙

Ibuki Hideaki Free Talk

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最近買った本やDVDソフト 2004年10月編

 値段は税抜きだったり、税込みだったり、ネット通販のセールス期間中だったり、それぞれです。DVDの新譜はみんなネットで買っているので、実際はもっと割引されています。表示金額はあくまで目安ということで。

1『世界が変わる現代物理学』竹内薫 ちくま新書 720円
 著者は以前、「と学界」批判の本を書いたことのある物理学者。曰く「本物の科学には白黒ではなく、グレイの領域がある」「理科の教科書とは違うことを書いてある本に×印をつけて、嘲笑する態度は不快」というもの。
 どちらかというと、わしは竹内氏に賛成だなぁ。
 本書は文系の人にも現代物理学をわかりやすく紹介しているだけではなく、「世界の見方」といった科学哲学にもうまくリンクさせている。
2『らくだこぶ書房 21世紀古書目録』 クラフト・エヴィング商會 筑摩書房 2000円
 未来から送られてきた架空書籍の目録。

3『PLUTO』1巻 浦沢直樹+手塚治虫 小学館 524円
4『トゥインクルスターのんのんじーEX』 竹本泉 白泉社 1000円
 久しぶりののんのんじー。ゲストが10人もいて豪華。
5『銃夢 Last Order』6巻 木城ゆきと 集英社 648円
「天下一武道会」も悪くはないんだけど、ストーリーの方も進めて欲しいなぁ、と思っていたら後半から過去の話に。デスティ・ノヴァ教授の再登場は、やはりプリンで祝さねばなるまい。おいちー。
6『ブラック・ラグーン』1巻 広江礼威 小学館 533円
 いろいろな人がお薦め下さるので買ってみました。おお、確かに眼鏡っ子メイドが撃ちまくったり、拳固で殴り合っておりますぞ。ちなみにタイトルは映画『大アマゾンの半魚人』の原題ではなく、作品に登場する魚雷艇の名であります。
 巻末のスペシャルサンクスに、知人の名が……。「世界は狭いわ」(田中敦子さんの声で読むべし)

DVD
7『プラネテス』7巻(18〜20話)バンダイビジュアル 6000円
8『神魂合体ゴーダンナー』SECOND SEASON 5巻(22〜23話) IMAGICA 5800円
9『Reキューティーハニー』地の巻 東映 5800円
10『アンドロメダ…』 ユニバーサル 1500円
11『華氏451』 ユニバーサル 1500円
 この2本は廉価版キャンペーン中。でも原作者インタビューやメイキング、日本語吹き替えも付いていてお買い得。
 この時代のSF映画って、現在のCG映画(あえてこういう)よりもバラエティが豊かだったと思うなぁ。

2004.10.30 ◇to page top


いつか100枚の蔵書票をつくるとき

 今朝の讀賣新聞・文化欄に「蔵書票愛好家の全国大会」の記事が載っていた。
 蔵書票(エクスリブリス)とは、自分の蔵書であることを示すために、本の見返しに貼る版画の小紙片のことだ。
 発祥は15世紀中期のドイツだそうだが、明治以降は日本でも普及し、愛好者が組織した「日本書票協会」は世界でもっとも大きな団体だという。
 本を買う人が減り、買ってもすぐにブックオフ等に売り飛ばす時代にあって、「優雅」な香りすらする。

 数年前、知り合いのベテランSFファンはこういった。
「もう絶対読まないというわけではないけど、SFは100冊だけ持っていれば良いと思うんだ」
 一種の卒業宣言だろう。
 その心境は理解できる。
 まあ、それでもこちらはまだジタバタするつもりだけど(でも、もう何年も新刊SFは読んでないな……そこそこ買ってはいるんだけど、みんな積ん読)。

 いずれ100冊に絞るときが来たならば、自分なりに蔵書票をつくってみようと思う。
 きょぬーめがねっ子司書の。
 ……優雅?

 もし、どこかの古書店で「きょぬーめがねっ子」のエクスリブリスが貼られている『時の声』『伝道の書の薔薇』『鼠と竜のゲーム』『ブルー・シャンペン』などを発見したあなた、それはわしの本です。
(10月16日のmixi日記からの転用)

2004.10.16 ◇to page top


矢野徹さんを悼む

 作家・翻訳家の 矢野 徹(やの てつ)さんが、13日午前7時58分、大腸ガンのため、ご自宅にて死去されました。享年81歳。

『カムイの剣』『折紙宇宙船の伝説』などの小説、そして『宇宙の戦士』『月は無慈悲な夜の女王』等のハインライン作品などの多くの翻訳。日本人SFファン第1号として、ワールドコンに参加したエピソード。地方のどんな小さなSFイベントにも足を運び、酒場の輪の中心にいた矢野さん。

 謹んでご冥福をお祈りいたします。 

2004.10.13 ◇to page top


小説雑誌の読者層

 といっても、「文學界」や「群像」には縁がないので、娯楽小説の話である。
 デビューして間もないころ、「ミステリー」(not本格)や「官能小説」がメインの「M」誌の方と話す機会があった。
「うちの読者の平均年齢ってどのくらいだと思います?」
 わざわざ問題にするくらいだから、意外な答に違いない。50という数字が頭に浮かんだが、「60」と答えた。
 しかし、事実は小説よりも奇なり。「70歳」という答だった。
 ひー!

 アンケートの集計結果なので、完全にそのとおりなのかは分からない。しかし、それしか検証のしようもない。古いタイプの純文学ならともかく、「ミステリー」(not本格)や「官能小説」がメインの「M」誌で平均年齢が70歳とは……。
 怖ろしいことに、それからもう11年が経っているのだ。

 両極端だが、若者向けの「D」誌という小説誌がある。
 いまから7年前に仕事をしたとき、読者年齢を聞いたところ、「17歳」だという。若い!(だからヒロインの歳を16に設定したのだ。巨乳だが)
 それから3年後にまた聞くと「20歳」だという。ちゃんと歳をとっている!
 しかし、それが問題なのだという。新しい読者が獲得できていないからだ。これは少年マンガ誌にも共通する課題。ずっと読んでくれる読者もいるだろうが、やはり加齢とともに離れていく層もあるだろう。
「D」誌の現場レベルでは、少し年長者向けの新雑誌企画が何度も話し合われているそうだが、なかなか実現には至っていないそうだ。実現の暁には声をかけてもらえそうなので、期待はしているのだが……。

 ところで「SFM」読者の平均年齢って何歳なのでしょうね? SF大会参加者(幼児含まず)よりも若干上だと思うのだけど。

(10月8日のmixi日記からの転用)

2004.10.8 ◇to page top


架空の本の広告

 というものを、いま作っています。久しぶりに書く同人誌の原稿。
 分量的には大したものではないのですが、調べ物が結構大変。そのためにわざわざ2000円以上をかけて、アマゾンから本を取り寄せたほどですよ(ネットで調べてみましたが、どうもラチが開きません。感想文は沢山見つかったのですが、書誌学的データ、細かい目次のデータが見つからず)。

 さて、その手に入れた本は
『らくだこぶ書房 21世紀古書目録』クラフト・エヴィング商會 筑摩書房

 もう4年も前に出ている本なので御存知の方も多いでしょう(じつはこの作業を始めるまで、わしは知らなかったのだが……)。
 未来から届いたという設定の、架空の本の目録です。手作りで製本したものの写真まで載っている。凝った造りです。

 SF的に有名なところではスタニスワフ・レムの『完全な真空』や『虚数』がありますが、「架空の小説作品や書籍」を扱った小説や書籍はそう珍しいものではありません(ああ、ややこしい)。
 そんな架空作品の架空広告を作ってみようと思い立ったのは、いまから14年前。前にも紹介した「宇宙塵」のパロディ誌「宇宙馬鹿」に掲載しました。柴野拓美さんや伊藤典夫さんに誉めていただいたのは嬉しい思い出です。

 でもって今回、ふたたび、いや、四度パロディ誌の企画が組まれることを知り、作業に着手した次第。
 でも、この14年間、とくにアンテナを張っていたわけでもないので、更新されるのは半分くらいですかな。

 参考までに前回載った作品の一部を紹介。
『火星の井戸』デレク・ハートフィールド
『性爆発』サイモン・メリル
『イナゴ身重く横たわる』ホーソン・アベンソン
『鈎十字の帝王』アドルフ・ヒトラー
『脳髄論/胎児の夢』正木敬之

※本文は10月4日の「mixi日記」からの転載です。

2004.10.4 ◇to page top


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