I氏の手紙

Ibuki Hideaki Free Talk

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児童書にSFが続々と登場

 山本貴嗣さんから『火星のプリンセス』を頂きました。これは創元のものではなく、岩崎書店から出ている「冒険ファンタジー名作選」というジュヴナイル・シリーズの1冊。岩崎書店は「福島正実SF童話賞」を主催をしているところでもあります。
「冒険ファンタジー名作選」は、以前も出していたものですが、今回はイラストをすべて差し替えてのリュニアル刊行です。
 全10冊のラインナップは次のとおり。絵を描いている方々に注目。

「ロスト・ワールド」コナン・ドイル 訳・久米穣 絵・竹本泉
「火星のプリンセス」エドガー・R・バローズ 訳・亀山龍樹 絵・山本貴嗣
「27世紀の発明王」ヒューゴー・ガーンズバック 訳・福島正実 絵・大塚あきら
「いきている首」アレクサンドル・ベリヤーエフ 訳・馬上義太郎 絵・琴月綾
「ぬすまれたタイムマシン」レイ・カミングス 訳・南山宏 絵・御米椎
「ついらくした月」ロバート・C・シェリフ 訳・白木茂 絵・竹本泉
「黒い宇宙船」マレイ・ラインスター 訳・野田昌宏 絵・赤石沢貴士
「キャプテン・フューチャーの冒険」E・ハミルトン 訳・福島正実 絵・秋恭摩
「次元パトロール」S・マーウィン・ジュニア 訳・中上守 絵・山田卓司
「うそつきロボット」アイザック・アシモフ 訳・小尾芙佐 絵・山田卓司

 なかなか壮観ですね。
(でも、前回刊行されたときも「冒険ファンタジー名作選」というタイトルだったかなぁ? 「SF」の文字が何処にもないのが気になるのだが)
 近くの本屋の児童書コーナーを見に行くと、やはり「ハリーポッター」の影響か、国内外のファンタジーがずいぶんと多く出ていますね。
 その中で「おおっ」と思ったのは、講談社の青い鳥文庫が今年から始めた「fシリーズ」というもの。こちらは日本のSF作家がそろっています。

「竜太と青い薔薇」(上下)松原秀行 絵・韮沢靖
「空中都市008」小松左京 絵・和田誠
「ねらわれた学園」眉村卓 絵・緒方剛志
「三丁目が戦争です」筒井康隆 絵・熊倉隆敏
「ポンコツタイムマシン騒動記」石川英輔 絵・あさりよしとお
「笑撃☆ポトラッチ大戦」かんべむさし 絵・大矢正和
 (短篇「ポトラッチ戦史」を元に、新たにジュヴナイル小説として書き下ろしたもの)
「超人騎士団リーパーズ」平井和正 絵・加藤伸吉
 (まだ目にはしていませんが、予告を見ると「超革命的中学生集団」のような感じです)
「時間砲計画」豊田有恒(12月刊行予定)

 過去の作品がいろいろと形を変えて、若い世代の人にも触れられる機会ができるというのは良いものですな。もっと若い作家にこのような場ができればさらに良し。

2003.11.28 ◇to page top


最近買った本とDVDソフト 2003年10月編

(価格は税抜き)
1「毒キノコが笑ってる」天谷これ 山と渓谷社 1300円
 内容はこれからキノコ狩りをしようという初心者向けです。面白い。
 ワープロの漢字変換にはときどき面白いものが出ますが、「山と渓谷社」と打とうとしたら「ヤマト警告者」と出た。なんか、怪しげですな(笑)。
2「日・英・米「諜報機関」の太平洋戦争」リチャード・オルドリッチ 会田弘継訳 光文社 2300円
 日本は諜報戦においても完敗していた。この本で興味深いのは対日本ではなく、英米がお互いに「戦後」の利権を睨んで激しく諜報戦をしていたということ。
3「アナロジーの罠」ジャック・アーヴレス 宮代康丈訳 新書館 2200円
 ポストモダン思想・フランス哲学界の内部批判本。興味のある方はアラン・ソーカルの「『知』の欺瞞」(岩波書店)と合わせて読むと良いです。
4「失われた恐竜をもとめて」ウィリアム・ナスダーフト他 奥沢駿訳 ソニー・マガジンズ 1800円
5「稲生モノノケ大全 陰之巻」東雅夫編 毎日新聞社 5000円

6「愛国少年漂流記」宮脇修 新潮社 1500円
7「夏帽子」長野まゆみ 河出文庫 440円
8「あなたの人生の物語」テッド・チャン 浅倉久志他訳 ハヤカワ文庫 940円
9「百年の恋」篠田節子 朝日文庫 571円
 ハードカバーのときは買い損ねたので、待望の文庫化。雑誌連載中のときから、いったいモデルは誰かということでSF界では話題になっていました。まあ、作中の日記パートを青山智樹氏が書いているので、ほとんどバレバレですけど。何でも、実際にあった話はもっと過激で、小説にするとウソ臭くなるのでセーブされているそうです(便器を割ったのはホントは素手だったとか)。

DVDソフト
10「魔法少女ちゅうかなぱいぱい!VOL.1」 東映 13800円
 1〜13話まで収録。1989年の本放送時には観ていなかったのですが、あとで知人からビデオを借りて観て、大いにハマったものです。
11「π」 TOSHIBA 3800円 →割引期間中に購入。
「ぱいぱい」と一緒に買うのは「π(パイ)」だろうというノリでゲット。店員さんは気づかなかったが。次は分かりやすく「砂の惑星」「砂の器」「砂の女」を一気に買うべきか(--;)。「バーバー」と「理容店主のかなしみ」でも良いな(何を狙っているんだか……)。
 それはともかく、「π」は、すばらしくスリリングで知的なエンターティンメントです。
12「フェアリーテイル」 パイオニア 3800円 →割引期間中に購入。
 かのアーサー・コナン・ドイルも(ちょっとだけ)関わった、「コティングリー妖精事件」を扱った映画。イングランドの心洗われる緑とともに綴られるふたりの少女の物語(とはパッケージの内容紹介)。
13「アフリカの女王」 IVC  3800円 →割引期間中に購入。
 往年の名画が手に入れやすくなり嬉しい限り。第一次大戦が舞台の、オンボロ蒸気船対ドイツの砲艦の話。主演のキャサリン・ヘプバーンとハンフリー・ボガードがとても元気です。
14「まほろまてぃっく〜もっと美しいもの」5巻(9〜10話) パイオニア 5000円
15「まほろまてぃっく〜もっと美しいもの」6巻(11〜12話) パイオニア 5000円
16「攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX」2巻(3〜4話)バンダイビジュアル 6000円
17「The ビッグオー」セカンドシーズン3巻(17〜18話)バンダイビジュアル  5000円
18「The ビッグオー」セカンドシーズン4巻(19〜20話)バンダイビジュアル  5000円

※山本貴嗣さんからいただいた『火星のプリンセス』については次回にくわしく触れます。いま、児童書SFが凄いことになっています。

2003.11.23 ◇to page top


「天空魔弾」2巻ようやく脱稿

 えー、久しぶりの近況です。といっても、1カ月半、部屋に籠もっていたので、出来事といえるものはあまりありません。
 10月4日、柴野さんの喜寿パーティー。前に書きましたが、残念ながら欠席。
 10月31日、日本SF作家クラブ40周年記念パーティー。会員でもないのに案内状をいただきましたが、これも残念ながら欠席。
 以前読んだ日本SFの黎明期に関する文章によると、クラブで団体旅行したとき、ホテルに「日本SFサッカークラブ様」という看板(?)を用意されたこともあったそうです(その写真も載っていました)。なんかドタバタのパラレルワールド物ができそうですね。
 11月2日、「IFCON3」。これは1年も前から依頼されていましたので出席。ただし時間がなかったので、自分の企画だけサッとやってヒット・アンド・アウェイで帰ってきました。久しぶりの外出だったためテンションは高かったです(笑)。
 で、その企画というのは青山氏と一緒にやった「SFと架空戦記」。テーマは両者の近くて遠い関係です。話があっちこっち飛んだので、ちょっと誤解を招くところがあったかもしれません。ここで簡単におさらいしておくと、
 SFにミリタリー的要素の盛り込んだ作品はこれからも書くつもりです。SFの読者には軍事に関心のある人も多いし、SFというジャンルの持つキャパシティも広いからです。
 反対に、狭義の架空戦記にSF的要素を取り入れるのは、これから控えようと思います。理由は前者の反対で、あまりにも効率が悪いから。まあ、(道具としての)タイムスリップくらいはもはや「一般的」になっていますので、まだ使えるとは思えますが。
 さて、そのタイムスリップが出てくる「天空魔弾」2巻目に関しては、発売時期が近づいてきましたら、近刊コーナー等でお知らせいたします。
 
 その他いろいろ。
※工事の音がうるさいと前に書きましたが、依然としてそれは続いています。斜め向かいのビルの工事に続いて、今度はよりによって下の階のリフォーム工事。さすがに我慢の限界。来年の引っ越しは予定をずっと早めて、春頃になりそうです。
※いろいろなパーティの案内をいただくのですが、ここ数年は欠席することが多いです。単に忙しいときもありますが、私は油物の消化ができないので、パーティ料理(油だらけのもの多し)に手を付けられないというのも大きいですねぇ。
 油の消化が出来ないのは、4年前に某大学病院で胆嚢を摘出したため。その手術法は、最近事故の多発で話題になっている腹腔鏡手術でした。確かに、開腹手術よりも体の負担が少なくて、大きな傷跡も残らなくて良いんですけど、事故はやはり怖い。
 幸い、手術前はそんな事故のことは知らなかったので良かったですけど(あ、でも事前の説明で危険性に触れなかったのは問題では)。
 それとは別に入院中に気になったのは教授の総回診。あれは看護士さんとかみんな妙に緊張して、こっちがトイレに行っててもわざわざ呼びにくるほど。患者なんかよりも教授が最優先という感じが露骨に出ていて嫌なものでした。
※山本貴嗣さんから面白い本をいただきました。なんと山本さんが挿し絵を描いている『火星のプリンセス』。くわしくは次々回に書きます。

2003.11.19 ◇to page top


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