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作品のハマり方
現在構想中の企画のために、あれこれと考えごとを続けている。
その中のひとつに、作品のハマり方というのがある。
例えていうなら、「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」。これらに深くハマり、人生に影響を受けたという人は、業界の内外に多くいる。
でも、そのハマり方は、大きく分けて、A、Bふたつあるように思う。
Aは、作品のキャスト、スタッフのデータ、撮影技術、制作エピソードなどを収集し、ウンチクを語りたがるパターン。
もうひとつのBは、作品内部に入り込むパターン。科特隊やウルトラ警備隊の組織、怪獣や星人などの設定、さらにはオリジナル・ストーリーの空想や創作などに手を染めるパターン。
AとB、はっきりと二分されるものではないだろうけど、自分の場合、2対8くらいの割合でBのウェイトは大きかった。科特隊のハヤタ隊員はずっとハヤタ隊員であり、黒部進という俳優の名はしばらく認知されることはなかった。また、有名な実相寺監督の名を知ったのは、ずいぶん後になってから、その手のことに詳しい人たちとつき合い始めてからのことだった。
思うに、Aは評論家タイプ、Bは作家タイプの人といえるのではなかろうか(以前、この話をしたとき、柏崎玲央奈嬢は「Aは狭義のおたく」ではないか、といっていました)。
余談。ウルトラ話のついでに。
「ウルトラセブン」と金城哲夫の沖縄人としてのアイデンティティを重ね合わせる見方がいつの間にか定着していますね(TVで紹介されたことが大きいのでしょう)。でも、そんなワンパターンの図式で納得してしまってよいものか、と前々から思っていました。
すると、先日、整理の途中でパラパラと見ていた雑誌のバックナンバー(「STUDIO VOICE」97年1月号のP43)で、池田憲章氏が同様の疑問を呈しているのを発見しました。
余談その2。私の知る限り、誰も指摘してはいないのですが、ウルトラマンのデザイン(体の紋様)は、シュール・リアリズム系のとある写真作品が元ネタのような気がします。ダダやブルトンといったネーミングも、そうした作り手側の指向性が感じられますし。……と、ここまで書いて、その肝心の作品名が載った本が発掘できていない(嗚呼……)。発見できましたら、この項は加筆・更新しますので、関心のある方はたまに覗いてみて下さい。では。
2003.1.29 ◇to page top
たぶん唯一、中島みゆきの偉業
とあることに気づいてしまったので、今回はタイムリーなネタです。
14日の新聞で、中島みゆきの「地上の星」が初登場から130週でオリコン1位となったことが報じられた。
NHKの「紅白」効果なんだろうけど、これまでのスロー記録が都はるみの「北の宿から」の44週だそうだから、大幅に更新したことになる(それだけロングセラーということ)。
じつは、それよりももっと注目すべきことがあるような気がする。
以前、中島みゆきは1970年代、80年代、90年代にオリコン1位をそれぞれ達成していると聞いたことがある。
今回でなんと2000年代も達成なのだ。
こんなことを成し遂げたのは、日本の歌手では唯ひとりではなかろうか。いや、世界でもそうはいないと思う。
興味のある方は調べてみてはいかがだろう。
+中島みゆき:’75年デビュー。’77「わかれうた」’81「悪女」’94「空と君のあいだに」’95「旅人のうた」でオリコン1位。今回「地上の星」で5回目のオリコン1位獲得(Einhorn註)
2003.1.16 ◇to page top
最近買った本とDVDソフト 2002年12月編
(価格は税抜き)
1「微生物制御」土戸哲明、高麗寛紀、松岡英明、小泉淳一 講談社 3500円
2「好きになる分子生物学」多田富雄監修、萩原清文 講談社 2000円
3「江戸時代館」 小学館 9500円(発刊サービス価格。3月から10500円になるそうです)
4「お騒がせ贋作事件簿」大宮友信 草思社 1800円
美術・骨董品の贋作のからくりを紹介。
5「最新海洋兵器図鑑」ムック 学研 2100円
6「世界の軍事要塞」斎木伸生 アリアドネ企画/三修社 2200円
7「アメリカ陸軍全史」ムック 学研 1800円
8「機甲入門」佐山二郎 光人社NF文庫 952円
9「古地図から幻の国々を読む方法」辻原康夫 KAWADE夢新書 667円
10「宮本武蔵の真実」小島英煕 ちくま新書 720円
11「形とデザインを考える60章」三井秀樹 平凡社新書 780円
12「『漫画少年』物語」加藤丈夫 都市出版 1800円
「少年倶楽部」の黄金期を築き、伝説の雑誌「漫画少年」を生み出し、手塚治虫が「東京での父」と慕った名編集者・加藤謙一の伝記。著者はその四男とのこと。
13「エンディミオンの覚醒」(上下)ダン・シモンズ 酒井昭伸訳 ハヤカワ文庫SF 各1000円
14「まろうどエマノン」梶尾真治 徳間デュアル文庫 533円
15グラン・ヴァカンス(廃園の天使1)飛浩隆 早川書房 1600円
80年代、飛氏の作品をSFマガジンで読み、いつ作品集を文庫で読めるのだろうと待ち続けた。90年代になったが、まだ出ない。昨年、2001年になって飛氏の全作品を集めたファンジンをコミケで見つけて買った。そして2002年の秋、ようやく書き下ろし作品の本書がJコレクションというかたちで刊行された。これほど待った作家が他にいただろうか……。あ、まだ文庫では出ていないぞ(結局、文庫にこだわるヤツ)。
(刊行まで長いこと待った作品、個人的にはシュミッツの「惑星カレスの魔女」、ディレイニーの「ノヴァ」、アンダースンの「タウ・ゼロ」などがありますな)
16「プランク・ゼロ」スティーヴン・バクスター 古沢嘉通・他訳 ハヤカワ文庫 860円
巨大スケールの連作シリーズ〈ジーリー・クロニクル〉の第1巻。
17「飛蝗の農場」ジェレミー・ドロンフィールド 越前敏弥訳 創元推理文庫 1060円
この厚さで1060円(+税)もするのかよ、と憤慨してしまいましたが、中身は傑作でした。ドロンフィールドというトボけた名前に騙されてはいけません(そんなことはないか……)
18「ネコの王」3巻 小野敏洋 小学館 533円
ネコ女神さまや苑子くんも良いのだが、マッコウクジラVSダイオウイカの場面に心を躍らせるワタシ。
19「はじめの一歩」63巻 森川ジョージ 講談社 390円
20「ベルセルク」24巻 三浦健太郎 白泉社 505円
DVDソフト
21「ミツバチのささやき」ビクトル・エリセ監督 東北新社 3800円
LDのときは買い損ねたので(プレイヤーを買ったときにはすでに店頭から消えていた)、大昔に名画座で観て以来の鑑賞。とても好きな映画です。
22「スターウォーズ エピソード1&2」G・ルーカス監督 20世紀フォックス 6980円
1と2を合わせたダブルパック。2の主役はやはりボバ・フェットの親父と、クライマックスでおいしいところを持っていくフルCGのヨーダでしょうか。
23「まほろまてぃっく〜もっと美しいもの」1巻 山賀博之監督 パイオニア 5000円
24「ラーゼフォン」8巻(第21〜23話) 出渕裕総監督 メディアファクトリー 6000円
25「AKIRA」大友克洋監督 パイオニア 3800円
1988年の公開当時、私の務めていた会社に「AKIRA」の雑誌プロモーションの仕事が来ました。私自身は直接タッチしませんでしたが、音頭をとっていた人が当時流行っていたサイバーパンクという言葉を宣伝に使うため、私にレクチャーを頼みに来ました。なんか無理やりこじつけて説明をした記憶があります。効果があったかどうかは知りません。
26「忍風カムイ外伝」6巻(第21〜24話) Imagica 5000円
ポツポツと買い続けているシリーズもこれで残りはあと7巻だけ。フィルムが残っていないためなのか、エンディングがずっと第1話のものを使っている。声優やスタッフが分からないことが不満ですね。ちなみにこの21話からは当時の原作のマンガにはなく、白土三平の案を元にアニメのスタッフが作ったものとのこと(マンガは第2部として、この部分からスタートする)。
27「劇場版エースをねらえ!」出崎統監督 バンダイビジュアル 5800円
ずっと昔に読んだ本のあとがきで「テニスのように軟弱なものはスポーツといわない」と、とある硬派の作家さんはいっていました。まあ、(とくに男がやると)軟派なイメージがあるので、そんな風に見ている人は少なくないでしょうね。でも、以前、プロ野球の選手たちがテニス選手と一緒に基礎体力の練習していて、先にギブアップしたと聞いたことがあります。運動量は野球よりテニスの方が、はるかに上なんですね。まあ、その作家は「単にプロ野球がより軟弱なんだ」というかもしれませんが。
さて、話を戻します。このソフトは、期間限定生産と知ってあわてて買いました。音楽CDとのセット商品。
公開は1979年。当時、映画館まで観にいきましたよ。この内容をたった90分にまとめたというのは驚異的ですね。ブックレットの出崎インタビューによると「(前略)本当は、全然どうなるか考えてなかった。ははははは!(中略)計算してやったわけじゃなくて、打ち合わせに追われながら、ブロック毎に絵コンテを描いていったんだけどね。それなのに、後から絵コンテを直したところは一ヶ所もなかったね」。凄い。
テレビシリーズ(もちろん旧作の方)も欲しいのだけど、懐具合やら置く場所を考えて、とりあえず断念。
それにしても、このところ、懐かしのテレビアニメのDVD−BOXが出すぎですね。ちょっと新譜案内を見るだけで、「あしたのジョー」「マジンガーZ」「月光仮面」「サスケ」「タイガーマスク」「侍ジャイアンツ」「ど根性ガエル」「タイムボカン」「ドカベン」「魔女っ子メグちゃん」「マグネロボ ガ☆キーン」「グレートマジンガー」……。出ること自体は良いんだけど、こう短期間にドカドカ出ても(実写物も同様)、買う人の数と財布の中身は限られているのでは……。業界の某プロデューサーに聞いた話では、売り上げが分散しすぎて、新作のセールスが軒並み落ちている。そのため、新作の企画も通りにくくなっているそうです。痛し痒しですな。
とりあえず旧作で興味があるのは「どろろ」と「アパッチ野球軍」。それに比較的新しいところでは「はれときどきぶた」でしょうか。しばらくは買わないと思いますけど。
2003.1.10 ◇to page top
2003年 あけましておめでとうございます
昨年2002年は、何があっただろう。鈴木宗男問題、サッカーW杯、ボブ・サップ、北朝鮮から拉致被害者帰国……おお、ソルトレイク五輪なんて、もう忘却されようとしている。時間の流れは年々加速していて、1年はホントにアッという間ですね。
ハリー・ポッター、タマちゃん、ノーベル田中氏への過剰取材……。相も変わらず、日本人は一極集中が好きなようです。私はそういうのが苦手でして。無意識のうちに、情報をカットしてしまいます。
さて、昨年12月、個人的には「PARADOX FINAL」の入稿、口腔外科での日帰り手術、SFクリスマス、富士見書房の謝恩会、冬コミとやはり慌ただしいものでした。
冬コミでお買い上げ下さった方々、ありがとうございました。おかげさまで「On the Catwalk」は完売。即売会での販売はこれで終了となります。今年もまた何か作るかもしれませんので、本サイトをこまめにチェックしていただければ幸い。
本業の方は、資料の山の中で遭難しかけているうちに、年を越してしまいました。遅筆に加えて、こう効率の悪いことをやっていては生産が上がらないわけですね。
それでも、少しずつではありますが、複数の企画が進行中です。今年は幾つかのサプライズを提供できると思いますので、気長にお待ち下さい。
さあ、まずは「DEAD OR ALIVE XTREME BERCH VOLLEYBALL」が出る前に長篇を1本書き上げなくては(笑)。いや、マジで。
2003.1.1 ◇to page top
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